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2. 太平洋を渡るカボチャ 
  日本でもカボチャは作られていますが、輸入カボチャはいったいどこから来るので 
 しょうか?下の世界地図を見てください。そう、偶然かもしれませんが全て太平洋を
 渡ってやってくるのです。4ヶ国の中でもトンガ産カボチャに焦点を当てて、私たち
消費者に身近なスーパーや百貨店でのトンガ産カボチャの姿に迫ります。    
 

 2-1. トンガはカボチャ輸入量第3
   日本国内でのカボチャ事情を言いますと、生産量の第1位は北海道、第2位は鹿児
 島県、第3位は茨城県となっています。しかし気候の関係で日本が作ることができな
 い時(図2-1を参照)に、海外からカボチャを輸入しています。輸入量の第1位はニ
 ュージーランド(以下NZ)、第2位はメキシコ、第3位がトンガです。また第4
 はニューカレドニアです(4-2.に登場)。1991年はNZ48%で、メキシコ25%、 
 トンガ21%でしたが、1998年以降はNZが常に60%以上になり、2004 年にはNZ
 が64%、メキシコ19%、トンガ12%に変わりました。
 

<輸入カボチャの経路図>
 
 
 
 下の図2-1を見て分かるように、トンガ産カボチャとメキシコ産カボチャが日本に入ってくる時期はほぼ等しくなっています。わずか数週間だけトンガ産が早く市場に出回るというだけで、一般的な消費者がトンガ産カボチャを目にする機会は少ないのが現状です。
<図2-1 日本市場に流通するカボチャの取り扱いカレンダー>
 
 
 トンガの主な輸出品は、カボチャの他に、魚介類(主にマグロ)やバニラ、ノニジュースといった加工食品があります。そのうちカボチャが占める割合は8090とほぼカボチャに依存しています。カボチャに依存しているトンガの現状に迫っていきたいと思います。
 

2-2.スーパーをおとずれて
    ここでトンガ産カボチャがどのような過程を経て、私たちの手元まで届くのかの
   謎に迫りたいと思います。まず私たちは会社や百貨店、スーパーに実際に足を運び、
 ンタビューしてきました。
●大丸にて
Q.「どのようにしてトンガカボチャを仕入れているのですか。」
A.『うちはバイヤーさんと長年契約してて、その人から買ってるね。ずっとその人やから信用もあるし。』
 
Q.「トンガカボチャの仕入れは減ってきていますか。」
A.『う〜ん、そうやね減ってるね。やっぱり消費者が国産嗜好 になってきているからトンガもやけど、海外のカボチャは全体的に取り扱いが減ってるわ。』             
 
●阪神百貨店にて
野菜売り場の藤井さんにインタビューしました。同じ百貨店でも大丸と違い卸売市場から直接買い取っている阪神百貨店。どんな違いが出てくるのでしょうか。
 
Q.「買い付けるときに気を付けていることってありますか。」
A.『百貨店の信用と安心を守るためにも証明書があるかないかに注意して買ってるわ。』
 
Q.「証明書って何でしょうか?」
A.『どこの農家が作ったもんなんかと、カボチャが何ランク※の検査を通過したもんかということを証明する紙や。これがないとお客さんから苦情があってもしっかり対応できひんやろ。』
※ランクとは「優・良・可」というようにカボチャの大きさや重さで決められます。ちなみにランク付   
 は神戸洋行で行われるそうです。
 
Q.「どれくらいの頻度で卸売り市場に行かれるのでしょうか。」
A.『そら毎日行ってるよ!』
 
Q.「えッ毎日ですか?」
A.『毎日行かなカボチャ腐るやん!百貨店の信用と安心を守るためにも新鮮なものしか置いてないよ。そこがスーパーとの違いやと思ってるしね。』
 
スーパーナカガワにて
 野菜の出し入れをしていた店員の西健司さんにインタビューしました。百貨店と違いがあるのでしょうか?
 
Q.「どうやってトンガ産のカボチャを仕入れているのですか?」
A.『うちは、卸売市場の中にある丸大青果っていう問屋さんから仕入れてるよ。国産も   
  外国のも、全部そこから仕入れることができるからええよ。』
 
Q.「今の時期(10月下旬)は北海道産が入っているんですよね?」
A.『そうやねぇ、だいたい九州からはじまって北海道まで出しきったら、少し間がある
  んだけど、そこでニュージーランドやトンガといった外国産が入るんよ』
 
Q.「大きなスーパーとの違いなどはあるんでしょうか?」
A.『うちみたいな中小企業は問屋から仕入れてるし、数も変動があるよ。イオンみたい
  に大企業スーパーだったら、契約農家や貿易会社から直接お店に運ばれてきていて   
  年間契約やから数も固定やね。』
 
 
 インタビューの結果、同じ百貨店やスーパーでも仕入れの方法が店舗によって異なることがわかりました。百貨店の方が、『品質・信用・安心』を本当に第一に考えていて、百貨店ならではのプライドをうれしそうに話してくださるのが印象的でした。
 
  インタビューの結果、トンガ産カボチャがどのように入ってくるのかを、図示して 
 みると下のようになります。
 
 
<図1 トンガ産カボチャが消費者に届くまで>
 
 トンガのカボチャのほとんどが日本の港に入ってきてから、まず神戸洋行に運ば
れます。
  百貨店の場合、大阪府中央卸売市場を介してカボチャを買い取ります。大丸では、
 中央卸売市場との間に昔から契約しているバイヤーをはさみ、カボチャを買い取っ 
ており(a)、また阪神百貨店では、中央卸売市場へ直接行き、仕入れています(b)。
スーパーの場合、スーパーナカガワといった中小企業では中央卸売市場から仕入れ    
ており(c)大企業では株式会社神戸洋行から直接買い取っているようです(d)
 ※交渉人。輸入する際のお店の窓口役となる人。
 

 

 

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